発達障害の人が質問にストレートに答えられない本当の理由|ASD・ADHDの会話特性を解説

Q.発達障害と思われる人に質問をすると、
質問に対する答えがなかなか返ってこないことがあります。

(例1:病院でもらった薬を飲んだのか?)
私「病院でもらった薬は飲んだの?」
発達「朝に市販の薬を飲んだけど、効果がなかった」
私「それは今朝聞いた話で、今は『病院の薬』のことを聞いているんだ」
発達「朝と昼は市販の薬を飲んだ」
私「だから違うんだよ。質問にちゃんと答えて。病院の薬は飲んだ?まだ飲んでない?」
発達「まだ飲んでない。寝る前に飲む予定」

(例2:結果を遠回しに伝える)
私「薬局に行くって言ってたけど、行けたの?」
発達「それがさぁ、家を出てさぁ、途中で田中さんに会ってさぁ、
久しぶりだなぁなんて話しててさぁ~(全く関係ない話を混ぜて遠回しに話す)」
私「そうじゃなくて、行けたのか行けなかったのかを聞いているんだけど」
発達「まぁ待って、順番に話すから。
それでさぁ、そういえば鈴木さんは元気かなぁなんて話になってさぁ(略)、
セブンイレブン寄ってさぁ、あの角の店が潰れててさぁ、知ってる?それで帰ってきたわけ!」
私「え、薬局は?」
発達「え?行ったよ」
このように、どちらの例でも質問にストレートに答えてくれません。
人間としてとても不思議に感じます。
なぜ、質問に対して直接的な答えを出せないのでしょうか?

発達障害の人が質問にストレートに答えられない本当の理由|ASD・ADHDの会話特性を解説

発達障害(特に自閉スペクトラム症=ASDやADHD)と思われる人と会話をしていると、
質問に対する答えがなかなか返ってこない
またはストレートにYes/Noで返してくれないことがよくあります。

例えばこんな会話です。

実際の会話例1:病院の薬を飲んだか聞いているのに…

私「病院でもらった薬は飲んだの?」
発達「朝に市販の薬を飲んだけど、効果がなかった」
私「それは今朝聞いた話で、今は『病院の薬』のことを聞いているんだ」
発達「朝と昼は市販の薬を飲んだ」
私「だから違うんだよ。質問にちゃんと答えて。病院の薬は飲んだ?まだ飲んでない?」
発達「まだ飲んでない。寝る前に飲む予定」

実際の会話例2:薬局に行けたか聞いているのに長話に…

私「薬局に行くって言ってたけど、行けたの?」
発達「それがさぁ、家を出てさぁ、途中で田中さんに会ってさぁ、久しぶりだなぁなんて話しててさぁ~(全く関係ない話を混ぜて遠回しに話す)」
(中略)
私「え、薬局は?」
発達「え?行ったよ」

どちらの例でも、聞いている側は
シンプルに「Yes/No」や「結果だけ」
を知りたいのに、なぜか直接的な答えがもらえない
人間としてとても不思議に感じ、イライラしてしまう人も少なくありません。

でも、これは本人がわざと避けているわけではなく、
脳の情報処理の仕方や会話の前提が定型発達の人と大きく異なる
ことが原因です。
以下で主な理由をわかりやすく解説します。

1. 質問の「本当の意図」を読み取るのが苦手(ASDに特に多い)

ASDの人は文脈や相手の意図を自動的に絞り込むのが難しい傾向があります。

  • 「病院の薬飲んだ?」
    → 「薬」という単語に反応して
    「自分が飲んだ薬全般」の話を始めてしまう
  • 「薬局行けた?」
    → 「行けたかどうか」ではなく
    「その日の行動全部を時系列で説明しないと伝わらない」と感じる

これを専門用語で
「リテラル(文字通り)な受け取り方」と言います。
質問の表面の言葉に忠実に応じようとするため、聞きたいポイントがずれてしまうのです。

発達障害の人が質問にストレートに答えられない本当の理由|ASD・ADHDの会話特性を解説

2. 「要点だけ」を先に言うのが難しい(ASD・ADHD共通)

頭の中に関連しそうな情報が一気に浮かんでしまうのに、
それを「重要度順」に並べ替えて
「相手が欲しい情報だけ」を先に言うフィルターが弱いことが多いです。

結果、

  • 時系列順に全部話す
  • 連想が次々飛んで脱線する

というパターンになります。
ADHD寄りの場合は特に
「今これ言わないと忘れちゃう!」という衝動も加わります。

3. Yes/No質問なのに
「補足まで言わないと不十分」に感じる

定型発達の人は
「相手が知りたい最小単位」で返し、
あとから聞かれたら補足します。
でもASD傾向の人には

  • 「まだ飲んでない」だけだと不誠実・説明不足に感じる
  • 予定や背景まで付け加えないと誤解されるかも…

という心理が働きやすいです。

なぜ「ストレートに答えられない」のか?|まとめ表

タイプ 主な特性 起きていること 本人の内心(よくある声)
ASD寄り 意図・文脈の推測が苦手 「薬」と言われた→処方薬限定とは限らないと思う 「正確に答えないと嘘になる気がする」
ASD寄り 要点抽出・優先順位付けが苦手 関連すること全部話さないと気が済まない 「これも大事な情報だから先に言っておかないと」
ADHD寄り 衝動的に連想が飛びやすい 話の途中で次々別の話題が浮かんで脱線 「今これを言わないと忘れちゃう!」
両方混在 Yes/Noに補足をつけたくなる 「まだ飲んでない」だけだと不十分に感じる 「予定まで言わないと誤解されるかも」

家族・周囲ができると楽になる対応例

本人にとっては「ちゃんと答えようとしている」のに、
聞く側からは「全然ストレートじゃない」と感じるギャップがストレスになります。
でもこれは悪意やわがままではなく、認知のフィルターの違いです。

少しでもスムーズにするために、試してみると良い方法です。

  • 質問の冒頭に「Yes/Noだけでいいよ」「一言で教えて」と前置きする
  • 「病院でもらった薬を、今日まだ飲んでない?(Yes/Noでいいよ)」と枠を明確にする
  • 脱線してきたら「ちょっと待って。まず『行った?行ってない?』だけ教えて」と聞きたい部分を再定義
  • 本人に「私、要点だけパッと知りたいタイプなんだよね」と自分の特性を伝えておく

最後に

このような会話のズレは、
理解すれば「不思議」「イラッと」が少しずつ減っていきます。

相手を責めるのではなく、
脳の得意・不得意の違いだと捉えられると、お互いが少し楽になれるはずです。
(結局はこちらが我慢するしかありません)

コメント